わたしの魔法使い
朱里に置いて行かれ、ゴン太に寝られた僕は…

寂しい……じゃなくて!!

部屋の掃除を始めた。

相変わらず掃除機はないから、雑巾で拭き掃除。

散歩のたびにゴン太の足を洗っているけど、案外汚れる。

あっという間に雑巾は真っ黒。




「…それにしても…」


白いワンピース姿。可愛かったな…

いつものジーンズ姿も可愛いけど、あんな女の子っぽい姿。


「初めて見たー!」


可愛くて…本当に可愛くて…


「は~…」


自分の気持ちがわからない。

最初は、会長に頼まれたことだった。

「守ってほしい」そう頼まれただけだった。

社長から逃げられたら、それで終わることだった。


それなのに、毎日一緒にいて、一緒に笑って…

そしたら…そしたら…



僕は人を好きになる資格、あるのかな?

僕はね、真っ黒なんだ。

拭っても拭いきれないほど、真っ黒なんだ。

そんな僕が、誰かを好きになっていいのかな。


朱里を…好きだって言っていいのかな…



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