わたしの魔法使い
颯太ってば、もらった袋をじっと見つめてる。


「…――?颯太?」

「あ、何でもない。帰ろっか?」


そう言いながら、さりげなく私の荷物を持ってくれる。

本当に優しいな~。颯太は…


そう言えば、歩く時は必ず車道側を歩いてくれるし、こうやって買い物に出ると、必ず荷物を持ってくれるし…


関係が何も変わらなくても、お互い“好き”って言ったし…

それでいいかな?

キス…はしたいけど、急がなくていいかな…?


そんなことを考えていたら、不思議そうな顔をした颯太の視線とぶつかった。


「朱里、何考えてた?」

「な、何で?」

「んー。赤い顔してたから。」


やっぱり顔、赤くなってたんだ。

考えてることが顔に出るって、やっぱり損だな…

もう少しポーカーフェースを勉強しなければ!!



「そういえばさ、商店街に高校生くらいのカップル、いなかった?」

――なんてことを考えていることを知られたくなくて、無理やり話題を変えちゃった。


「あ、いたいた。仲良く手、繋いじゃってさ。すっごく楽しそうに笑ってたよ」

「可愛いよね。私、女子高だったから制服デートとかしたことなかったなー。」

「朱里、女子高だったの?ってか、高校の頃、彼氏いなかったの?」


…痛いところ、突かれた。

彼氏がいないどころか、初恋もまだでしたよ…



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