わたしの魔法使い
初恋が24歳なのと、彼氏いない歴24年じゃ、レベルが違いすぎる!

絶対に“颯太が初恋”って言えない!!

だって!

だって自分が言われたら!

“朱里が初恋”何て言われたら……


「…ドン引き……」

「ん?何が?」

「あ、いえ!何でもない!颯太は?制服デート、したの?」

「僕?僕はねぇ……彼女もいなかったし、そんなことしてる余裕もなかったかな……」


あれ?颯太の顔が一瞬だけ暗くなった?

聞いちゃいけないこと…だったのかな……?


颯太の暗い顔はほんの一瞬で、気がついたときにはもういつものフニャッとした優しい笑顔だった。


「朱里はしたかった?制服デート。」

「んー。したかった……かな?」

「じゃあ、今度してみる?制服デート。」

「はぁ?何言ってるの?ってか、いくつなの?年考えようよ!」

「28歳と24歳だけど、何か?」

「何か?って!もう無理でしょ!」


やっぱり気のせいだったみたい。

隣で笑う颯太の顔は、いつもの颯太の笑顔で、さっきまでの暗い表情は見えない。


きっといつか、話してくれるよね?

颯太の事。

本当の颯太自身の事。

私は待ってるからね。




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