わたしの魔法使い
「ヘッブションッ!」
ゴン太の前に座り込んだ彼がくしゃみをした。
「ヘッブションッ!ヘッブション!」
「ぷ…あはははー!」
茶色い髪に茶色い瞳。
中性的なきれいな顔。
それに似合わない、男らしいくしゃみ。
よく見ると鼻水まで!
もうさっきまでの恐怖なんてどっか行っちゃって、ただただ、そのきれいな顔と鼻水のアンバランスがおかしい。
「あの。家、近くなんです。このままじゃ風邪引くから……来ませんか?」
傘を彼に差しかけた。
「魔法使いの弟子。」
彼はそう言った。
「私を笑顔にするために来た。」と…。
あの人の側かもしれない。でも、私を笑顔にするために来たのなら、彼は味方なのかもしれない。
それに、「魔法をかけてあげる」といったときの彼の目が、泣いているように見えた。