わたしの魔法使い
「だ、大丈夫?」

「ゲホッ……だ…大丈夫……」


コーヒーを一口飲むと落ち着いたのか、朱里は怒ったような、照れているような顔をした。


「今日の颯太、なんか変!」

「そうかな?」

「そうだよ!いつもの颯太なら、そんなに可愛いって言わないもん!」

「そうかな?」

「そうなの!」

「また怒ってる……」



怒りながらパンをかじる朱里を見ていたら、やっぱり可愛いと思ってしまった。


朱里が言う通り、今日の僕は変なのかな?

まあ、いいか!

「だって今日の朱里、本当に可愛いんだもんっ!」

「…可愛く言ってもダメ!」
「はい……」


シュンッと項垂れる僕を見て、朱里が柔らかく微笑む。

その微笑みは天使みたいで、やっぱり可愛い。







――僕は浮かれてるのかもしれない。

朱里との初デートだから…

こんなに浮かれた気持ち、初めてかもしれない。



朱里を好きになって…

自分の気持ちに正直になって…


これで良いのか悩むこともあるけど、今は、今だけは幸せって感じていたい。

浮かれていたい。



いつか、本当のことを話すまでは……





「…――颯太?食べないの?」

「ん?食べるよー。食べたら……ちょっと待っててね」

「何で?」

「いいから♪」

「何だかわかんないけど…とりあえずわかった!」



そう言って笑った朱里は、やっぱり可愛い!



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