わたしの魔法使い
「…――目、開けてもいいよ。」


そう言われて目を開けたら、目の前には真っ赤な車!

しかも形がスッゴク可愛い!


「――!何これ?!どうしたの?レンタカー?」

「っんなわけないでしょ?正真正銘、僕の車。」


颯太、免許持ってたんだ!

――そういえば、本当に何も知らないんだ。

颯太のこと……


“颯太”って名前と、もう少しで誕生日ってことくらいしか知らない。

どこで何をして来たのか、どんな生活をして来たのか。

名字すら知らない……


それでも……

それでも、好きなんだよね……


それにほらっ!過去より現在(いま)だよ!

左頬にあるえくぼのせいで、綺麗な顔の印象が可愛く見えるし、くるくる表情が変わるし、料理も上手。

それにすごーく子供っぽいところもあって、いっつも笑ってて、でも時々悲しい瞳をする。

一緒にいるからわかること、一緒にいるから見えることがあるんだもん。

だから……

今はそれでいいよね。




「どうぞ。お嬢様。」


お、お嬢様?

誰が?




恭しくドアなんて開けられちゃうと、本気で照れるから!

それに、颯太は綺麗すぎて、執事っぽくないんだよー!



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