わたしの魔法使い
平日の水族館は、お客さんもまばら。
お陰でゆっくり水槽の中を覗き込むことができる。
「見て見て!ちっちゃい魚がいっぱーい!」
「そうだねぇ。」
「こっちにはアジがいっぱい!」
「夕飯、アジフライにでもしようか?」
「……それはヤダ!」
何だか私、子供みたい?
颯太のことなんて気にもしないで、次々に歩き回っちゃった。
一人で興奮してて、ちょっと恥ずかしい。
振り返ると水槽の灯りが反射した颯太の顔がある。
ち、近い!近すぎる!
眼鏡の奥の長い睫毛、毛穴がないようなつるんっとした頬、赤く熟れたような唇。
相変わらず綺麗な顔。
それがすぐ近くにある。
何だか変に意識しちゃうよ。
「そそそ颯太、近い!」
「何が?」
「何が?って……」
顔ですよ!顔!
一緒に暮らしてて、こうやって顔が近くにあることなんてよくあることだけど…
場所が違う!状況が違う!
緊張する!
「顔、赤いよ?」
「うるさい……」
息がかかるー!
ほっぺがくすぐったい!
今なら死ねるー!
確実に死ねる!
それくらい心臓がドキドキしてる。
『館内のお客様にご案内申し上げます。まもなく屋外プールにて、イルカショーを…』
ナイスタイミング!館内放送!!
館内放送かけてくれたお姉さんにハグ、したい気分!
「颯太!イルカだって!行こう!!」
近すぎる颯太の顔から逃れるように、先を歩き出した。
「残念……」
そういった颯太の声は、繰り返しの館内放送の音で聞こえなかった。
お陰でゆっくり水槽の中を覗き込むことができる。
「見て見て!ちっちゃい魚がいっぱーい!」
「そうだねぇ。」
「こっちにはアジがいっぱい!」
「夕飯、アジフライにでもしようか?」
「……それはヤダ!」
何だか私、子供みたい?
颯太のことなんて気にもしないで、次々に歩き回っちゃった。
一人で興奮してて、ちょっと恥ずかしい。
振り返ると水槽の灯りが反射した颯太の顔がある。
ち、近い!近すぎる!
眼鏡の奥の長い睫毛、毛穴がないようなつるんっとした頬、赤く熟れたような唇。
相変わらず綺麗な顔。
それがすぐ近くにある。
何だか変に意識しちゃうよ。
「そそそ颯太、近い!」
「何が?」
「何が?って……」
顔ですよ!顔!
一緒に暮らしてて、こうやって顔が近くにあることなんてよくあることだけど…
場所が違う!状況が違う!
緊張する!
「顔、赤いよ?」
「うるさい……」
息がかかるー!
ほっぺがくすぐったい!
今なら死ねるー!
確実に死ねる!
それくらい心臓がドキドキしてる。
『館内のお客様にご案内申し上げます。まもなく屋外プールにて、イルカショーを…』
ナイスタイミング!館内放送!!
館内放送かけてくれたお姉さんにハグ、したい気分!
「颯太!イルカだって!行こう!!」
近すぎる颯太の顔から逃れるように、先を歩き出した。
「残念……」
そういった颯太の声は、繰り返しの館内放送の音で聞こえなかった。