わたしの魔法使い
館内のどこにこんなに人がいたのかってほど、屋外プールは人で溢れていた。


「…すごい人。」

「イルカパワーだね。」

「イルカパワーって。朱里って、時々変な言葉作るよね。」

「そうかな?…だって、あんなに人、いなかったんだよ?それなのに、ここにはこんなにいるんだもん!」

イルカパワー、侮るべからず。

座るところもなかなか見つからない。


キョロキョロとしていると、プールから離れた上段の方に空席を見つけた。

「あそこ!空いてるから、あそこに座ろう。」

「…プールから遠くない?」

「眼鏡かけてるから見えるでしょ?」

「見えるけど……」

「じゃあ、いいじゃない!行こう!」



グイグイと手を引いて階段を上っていると、あちこちから視線が向けられた。

聞こえてくるのは“綺麗な人”とか、“モデルみたい”とか。


颯太を誉める言葉ばかり。

そりゃあ、カッコイイよね。

銀縁の眼鏡かけてても、颯太の魅力は隠しきれないもん!

他人に言われなくても、颯太が格好良いことなんて知ってるもん!


そんな中聞こえてきた言葉に、耳を疑った。


“男の人もカッコいいけど、女の人もきれいだよね”


……え?

今、“女の人もきれい”って言ってもらえた?

女の人って、私……だよね?



やだー!私もきれいって!

そんな誉められちゃうと……

調子に乗っちゃいます!



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