わたしの魔法使い
ショーが始まってしまうと、さっき躓いた恥ずかしさなんてどこかに行っちゃって、大喜びしちゃった。

だって、すごい高さにジャンプしたり、ボールを頭にのせて泳いだり、飼育員さんと泳いだり。


やっぱりイルカパワーはすごいよ!

イルカパワーに圧倒されて、時間なんてあっという間に過ぎちゃった。



「イルカパワーはすごかったねー!」

「朱里、ずっと口が開きっぱなしだったもんね。」

「そんなことないもん!」


屋外プールから出る人に紛れ、私たちも歩き出した。

「これからどうする?」

「颯太の好きでいいよ。さっきから引っ張り回してきちゃったから。」


そう言うと、颯太は優しく指を絡めて恋人繋ぎをした。


「――?」

「もう一度…大水槽に行こう……」

「オッケー。そういえば、イワシ、いっぱいいたね。みんな同じ方に泳いでて、きれいだったー。」

「…もう“美味しそう”って言わないでね。」

「言いません!颯太こそ、夕飯のおかずはアジフライとか言わないでよ!」


人混みの中言い争いを続ける私たちは、やっぱり“バカップル”なのかもしれない。


もういいんだもんっ!

バカップルでも!

だって楽しいんだから!



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