わたしの魔法使い
「…――で?おじいちゃんは……付き添い?」

「……いや。預かりものを届けに来たんだよ」

「預かりもの?」

「そう……颯太君から」

「…………………は?」


おじいちゃんの言葉は、衝撃以外の何物でもない。


何で?どうして?


そればかりが頭の中を回る。

颯太を知ってる?

何で?どうして?

何を預かってきたの?



聞きたいことがありすぎて、言葉にならない。



「そんな顔するな。朱里が思ってることは、全部ここに書いてある」


そう言って、1通の白い封筒を差し出した。

封筒の表には、少し丸みを帯びた癖のある文字で

『朱里へ』

と書いてあった。


その文字は、何度か見たことのある颯太の文字だった。




受け取った封筒は普通の封筒で軽いはずなのに、私の手にはズシリと重く感じる。

早く読みたい。

だけど、読みたくない気持ちもある。

読んでしまったら、本当にすべてが終わってしまうようで……



「朱里。手紙には颯太くんのすべてが書いてある。それを読んで、どうするかはゆっくり考えなさい。……おじいちゃんたちは帰るから。」


それだけ言うと、おじいちゃんはお父さんを連れて帰っていった。




< 215 / 303 >

この作品をシェア

pagetop