わたしの魔法使い
お母さんの言うことに逆らえなくて、あとはズルズル……

高校は行ったよ。これでも成績は良かったんだ。

でも、学校が終わると、そのまま僕を買った人たちのところへ連れて行かれる。

部活も、友達付き合いも、恋愛もできなかった。

そんな僕に奏さんは、“ごめんね。借金を返し終わったらおしまいにするから”って言い続けてた。

僕にはどれだけの借金があって、いつまで続くのかわからなかった。

ただ奏さんの言う事を信じるしかなかった。

どんなに奏さんが好きでも、時々嫌になって逃げ出したこともあるけど、必ず捕まるんだ。どこへ逃げても。

だから、逃げることも、拒否することも諦めちゃった。

そんな生活が大学まで続いたかな?

もうその頃には借金なんてすっかり返し終わってたけど、働かずにお金が入る仕事、そう簡単には辞められないでしょ。

あの人、ズルズル続けてて。僕以外にも何人か男の子を抱えてたよ。

きっと今でも続けてると思う。

もう僕には関係のないことだけど。


初めに話したよね。“女の人に反応しない”って。

これが原因だと思う。

あ、お金が絡まないとって訳じゃないから。

好きでもない人を抱き続けた罰…かな?


これが僕の真っ黒な汚れです。

でもね、こんな僕を救ってくれたのは、他の誰でもなく、朱里だったんだ。』




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