わたしの魔法使い
「…――お久しぶりです。」
『中埜君か…どうした?』
僕は手短に、これから本屋を始めること、仕入れに関しての相談があることを話した。
電話の向こうの田中室長は、少し驚いたようだった。
『…会社にいた頃は、全然接点がなかったのにな。頼ってくれて嬉しいよ』
そう言ってくれた。
ごめんなさい。室長。
僕は不純な動機で室長に連絡しました。
朱里のことが知りたくて……
元気なのか?
本は書いているのか?
ちゃんと笑えているのか?
そんな僕の不純な気持ちを察したのか、
『…朱里ちゃんなら元気だよ。』
そう笑った。
そうか……元気でいるんだ……
ホッとした。
朱里が元気でいる。
それだけでいい。
……って、なんだかオヤジくせぇ…
まあ、もうすぐ30になるからオヤジなんだけど。
『それともうひとつ。朱里ちゃんは今……』
室長の言葉に何も考えられなくなった。
たぶん“そうですか”とか“もう関係ないから”とか言った気がする。
あれから1年。朱里は新しい“今”を生きてる。
僕がいなくても。
そうだよね。あんな真っ黒の僕なんて、もう忘れちゃったよね。
でも……何だろう?
胸が苦しい……
『中埜君か…どうした?』
僕は手短に、これから本屋を始めること、仕入れに関しての相談があることを話した。
電話の向こうの田中室長は、少し驚いたようだった。
『…会社にいた頃は、全然接点がなかったのにな。頼ってくれて嬉しいよ』
そう言ってくれた。
ごめんなさい。室長。
僕は不純な動機で室長に連絡しました。
朱里のことが知りたくて……
元気なのか?
本は書いているのか?
ちゃんと笑えているのか?
そんな僕の不純な気持ちを察したのか、
『…朱里ちゃんなら元気だよ。』
そう笑った。
そうか……元気でいるんだ……
ホッとした。
朱里が元気でいる。
それだけでいい。
……って、なんだかオヤジくせぇ…
まあ、もうすぐ30になるからオヤジなんだけど。
『それともうひとつ。朱里ちゃんは今……』
室長の言葉に何も考えられなくなった。
たぶん“そうですか”とか“もう関係ないから”とか言った気がする。
あれから1年。朱里は新しい“今”を生きてる。
僕がいなくても。
そうだよね。あんな真っ黒の僕なんて、もう忘れちゃったよね。
でも……何だろう?
胸が苦しい……