わたしの魔法使い
待ち合わせの喫茶店には、室長の方が先に来ていた。

相変わらず格好良いこって……

そう言ってしまいたくなるほど、室長は格好良かった。

きっと朱里と並んだら……

いや。やめよう……



「…――おお!こっちこっち!」


気づいた室長が手を挙げてくれる。

くっそー!!そんな姿もかっこいい!



「わざわざすいません。お忙しいのに…」

「いや、今は割りと落ち着いてるから。それよりこれ。」


差し出された茶色の封筒には、問屋のリストが入っていた。


「ありがとうございます。助かります。」

「いや、大したことないから…それより、どこでやるんだ?店は」


……やっぱり聞かれたか……

頼った時点で覚悟していたけど、やっぱり……って思ってしまった。


「…N町です……」


町名を告げると、一瞬だけ室長の顔が曇った。


「だ、大丈夫ですよ。邪魔はしませんから……」

「当たり前だよ。でも、一応住所だけ、教えろよ」

「わかりました……メールで送っておきます」

「おう。そうしてくれ。」


そう言って室長は帰っていった。



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