わたしの魔法使い
「あ……あの…この住所って、アパート…ですよね?」

「そうよ。アパートの住所。でも、この部屋番号じゃ、あそこに行くんでしょ?」

「あそこ……?」


ワケわかんない!

アパートの住所なのに、おばさんは“あそこ”って。

あそこって何?

何があるの?



「…――ほらつ。着いたわよ」

そう言われて見た先には、普通の…いや、普通より少し古い、小さなアパートがあった。

そのアパートの入り口には立て看板があって、そこには

“魔法使いの本屋”

店名らしきものと、愛らしい魔法使いのイラストが書いてあった。


「魔法……使い……?」

「そうよー。魔法使いの本屋。本屋さんなんだけどね、少し変わってるの。あなたもここに来たかったんでしょ?」

「変わってる……?」

「変わってるの。本屋なのに本屋らしくなくて。…落ち着くのよー」


連れてきてくれたおばさんは楽しそうに笑った。


何だろう……?

ドキドキしてきちゃった。



ガラス越しにうっすらと見える店内には、さっきのおばさんと同年代くらいの人が数人いて、楽しそうに話をしているのが見える。

その真ん中に、背の高い男の人が見えた。


「う……そ………」



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