わたしの魔法使い
「ゴン太!どいて!」

駆け寄ると、颯太さんは苦しそうで、意識が朦朧としているようだった。


冷たい頬。冷たい体。荒い呼吸。


「とりあえず…とりあえずこっちに…」


ゆっくりと颯太さんを起こすと、引きずるようにベッドまで連れていく。


「……ごめん……なさい……」


颯太さんの謝る声が響く。

「…――雨の中、傘も差さないから…。……とりあえず…着替えましょ…?」


颯太さんのシャツのボタンに手をかけた。



< 26 / 303 >

この作品をシェア

pagetop