わたしの魔法使い
田中さんに渡された住所、探さなければよかった。
そしたら颯太に迷惑をかけることもなかったから。
やっぱり帰ろう……
そう思って立ち上がったら、颯太に抱き締められた。
最後に抱き締められたときと変わらない、華奢な体。
フワッと香る颯太の匂い。
「そ……颯太………?」
「ごめん……少しだけ……」
やっぱりね、颯太が好きだよ。
田中さんと一緒にいれば、颯太のこと、忘れられるって思った。
だけど、やっぱり忘れることなんてできなくて……
苦しいよ……
こんな風に抱き締められてると、もっともっと、颯太が好きになっていっちゃうよ……
「…もう……離してよ……」
「うん……」
そう答えてくれたけど、回された腕はなかなか離してもらえなくて……
「朱里……会いに来てくれて……ありがとう………」
その声が震えていた。
「…何で……?何で颯太が泣くの?」
いつも笑ってる印象しかなかった。
百面相のようにクルクル変わる表情しか見たことがなかった。
そんな颯太が泣いている。
見たくないよ…颯太が泣いてるところなんて……
笑っていてほしいよ。
そう思う私に聞こえてきたのは、重荷を下ろすような声だった。
そしたら颯太に迷惑をかけることもなかったから。
やっぱり帰ろう……
そう思って立ち上がったら、颯太に抱き締められた。
最後に抱き締められたときと変わらない、華奢な体。
フワッと香る颯太の匂い。
「そ……颯太………?」
「ごめん……少しだけ……」
やっぱりね、颯太が好きだよ。
田中さんと一緒にいれば、颯太のこと、忘れられるって思った。
だけど、やっぱり忘れることなんてできなくて……
苦しいよ……
こんな風に抱き締められてると、もっともっと、颯太が好きになっていっちゃうよ……
「…もう……離してよ……」
「うん……」
そう答えてくれたけど、回された腕はなかなか離してもらえなくて……
「朱里……会いに来てくれて……ありがとう………」
その声が震えていた。
「…何で……?何で颯太が泣くの?」
いつも笑ってる印象しかなかった。
百面相のようにクルクル変わる表情しか見たことがなかった。
そんな颯太が泣いている。
見たくないよ…颯太が泣いてるところなんて……
笑っていてほしいよ。
そう思う私に聞こえてきたのは、重荷を下ろすような声だった。