わたしの魔法使い
「ご飯食べたかな?とか、お腹空かせてないかな?とか、いつも心配してたよ」

「……そんな心配」

「なんて嘘。本当はすっごく……」


回された腕に力が入る。

ギュッと、苦しいくらいに。


「…――会いたかった」

「颯太……」


ずっとこうしていたい。

颯太の腕の中で、こうしていたい。



どれくらいの時間、颯太の腕の中にいただろう?

キッチンでタイマーが鳴ってる。

そういえば、何を作ってるんだろう?


「残念。時間来ちゃった。」

本当に残念。

暖かくて、居心地がいいのに……


「何作ってるの?」

「ナイショ!…座ってまってて」


……座ってって……

座布団もないし、ソファもない。

うーん……


とりあえずベッドに座ってる?



なんだか懐かしい。

颯太の料理する姿。


高い背を丸めて、野菜を刻む背中。

フライパンを振るキュッと引き締まった腕。

時々聞こえる鼻唄。

そのすべてが懐かしくて、愛おしい。



「…――できたよー!」


颯太が手にしていたのは、初めての時と同じ、カルボナーラだった。



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