わたしの魔法使い
その幸せを確かめるように、朱里に回した腕に力を入れる。


「く…くるし……」


回した腕をタップするように叩かれ、無理な態勢で、どれだけの力でギュッとしていたのかがわかる。

…すごく、恥ずかしい……

「あ、ごめん……」


苦しかったからか、恥ずかしいからか、相変わらず真っ赤な金魚のようになる朱里が愛おしい。

朱里を大切にしたいと思う気持ちと、めちゃくちゃにしてしまいたい気持ちが入り交じる。


初めてかもしれない……


金や借金や仕事じゃなく、誰かを抱きたいと思ったのって……


まあ、初体験から仕事だったし……

心から愛する人と結ばれたい。

そう思う自分に、少しだけ戸惑う。


……どうすればいいんだ?


腕の中の朱里は、相変わらず赤い顔で僕を見上げている。

少し潤んだ瞳で……


僕の頭の中に、天使と悪魔が混在していて、“再会したばかりじゃないか”という気持ちと、“今がチャンス!押し倒せ”という気持ちがシーソーのように揺れる。


「…――颯太……?」


あー!!ごめんなさい!

悪魔が勝っちゃいます!



僕は朱里にキスをした。


ゆっくりと、甘く、深く……




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