わたしの魔法使い
今までのキスと違う、甘くて深いキスに戸惑っているのがわかる。

だけど止めることができない。

そのままベッドへ倒れ込むと、朱里の戸惑ったような声が次第に甘く変わっていく。


「…そ…うた……」

「…愛してる……朱里……」



その日、僕たちは初めて結ばれた。

離れていた時間を埋めるように、何度もお互いの温もりを確かめながら……


心から愛する人と結ばれることが、こんなに幸せだとは知らなかった。

今までの経験なんて何の役にも立たない。

心から愛する人と結ばれること。

それが大切なんだ……


「朱里…愛してる」

「ん……」

腕の中で小さく眠る朱里のおでこに、そっとキスを落とす。

くすぐったそうに身をよじる朱里が可愛くて、もう一度キスをした。




< 276 / 303 >

この作品をシェア

pagetop