わたしの魔法使い
一昨日から降り続いた雨は、今朝になってもその雨足を衰えさせることなく降り続いている。


「空が泣いてる……」

まるで空が何かを悲しむような降り方。

見ている私まで泣きたくなる。


そっと窓を閉めると、雨音のきえた部屋に小さな足音が響く。

「ゴン太……?」

いつの間にか、寝床を這い出したゴン太が、変わらぬ笑顔を見せていた。

「今日も雨降ってるよ。散歩、どうしようか?」

ゴン太の首に腕を絡めると、かすかな雨の匂いと、ゴン太自身の匂いがする。

「――!ゴン太!くさい……」

首に絡めた腕をほどくと、私は勢いをつけて立ち上がった。

「よし!今日は散歩いこう!そんで、お風呂に入ろう!決まりー!」

お風呂の嫌いなゴン太は、すごく嫌そうな顔で私を見つめてくる。

嫌な顔をして私を見つめれば、お風呂から逃れられるとでも思っているようだ。

でもね、それは無理。

だって、もう2ヶ月近く入ってないから。

「ゴン太ー!!散歩ー!」

私はリードとゴン太のレインコートを手に、玄関へ向かった。
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