わたしの魔法使い
苦しくなるほどの長い沈黙。

聞こえるのは、コーヒーを飲む音と、犬の息づかいだけ。





た、耐えられない……

こんな沈黙、耐えられないよー!




僕はお腹に力を入れると、ついに口を開いた。


「「あの!」」


朱里さんも耐えられなかったみたいだ。


でも、またお互いに黙って俯いてしまった。

こういうとき、小説とかマンガだとお互いに顔を見合わせで笑うのに…。

ただ黙って飲む音だけが響く。

苦しくて、長い沈黙…




やっぱり耐えられない!



僕はそっとカップから顔をあげた。

その目に写ったのは



な、泣いてる?




小さな肩を震わせる朱里さんだった。
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