わたしの魔法使い
頭がパンクする!

一緒に住む事になりそうなことも、めくるめく妄想も起こらないことも。

体か反応しないって、どういう事?




「……なんて、冗談。女の子と同居するって思ってくれればいいよ。」


そんな風に軽く言うと、颯太さんは空のお皿を持って立ち上がった。

その顔は少し悲しげで、私の心を締め付ける。

なんて声をかけていいかわからない。

きっと、何を言っても颯太さんの悲しみを消すことはできないから。



「…――ご飯。美味しいの作ってください。」


それが精一杯だった。




悲しい何かを抱えた颯太さんと、あの人から逃げた私の共同生活が始まった。


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