わたしの魔法使い
そういうと、その人は立ち上がった。

丸まっていて気がつかなかったけど、以外と背が高い。

白いシャツにジーンズとカジュアルな格好なのに、カジュアルに見えない。

中性的な顔だち。

微笑む左頬には小さくへこむえくぼ。

長い間雨に打たれていたであろうその人は、白い肌をしていた。


「…な……何で……?」

言葉が続かない。

初対面の人が名前を知っている。

それが怖い。

しかも、「探してた」なんて。

こ……怖い……

傘を持つ手が震える。

ゴン太と私を繋ぐリードを握りしめる。


「私を探してた。」

この人はそう言った。

私を……。


あぁ、また逃げなきゃ……
逃げな……きゃ……



そう思うと、目の前が歪んだ。
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