わたしの魔法使い
雨の中突然現れて、「笑顔を守る」って言われて、おいしいご飯作ってもらって……

ただそれだけの関係。

たった2日一緒に過ごしただけ…

ただそれだけなのに、いつかは離れるって聞いただけで、胸が痛いの……

この気持ちはなんなんだろう?

私にはわからない。

今までたくさんの言葉で書き綴ってきた、「恋」というものなの?

でも、こんなに簡単に恋に落ちるものなの?

わからない…わからないよ……



今までゆっくり食べていた食事をかき込むように終わらせると、食器を持って立ち上がった。


「颯太さんの好きにすればいいよ…」


それだけ言うのが精いっぱいだった。

自分の気持ちも、颯太さんの気持ちも、わからない。

ただ、胸が痛い。

それだけしかわからない。


何か言ったら泣いてしまいそう。

私はゴン太を連れて、散歩に出た。


見上げた空は今までで一番綺麗な青空だった。
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