わたしの魔法使い
叫んだ僕を、通行人は冷たい目で見ている。

恥ずかしすぎるっ!

隠れたいけど、女性物の洗濯物に隠れるのも恥ずかしいし…

とりあえず布団に顔、埋めておく?

お日様に当たった布団はフカフカで、少しだけ朱里ちゃんの匂いがする。

化粧や香水の匂いとは違う、優しい匂い。


「幸せだ~」

「…――変態…」

「――!!」

顔をあげると、手すりの向こうには、少し頬を上気させた朱里ちゃんが立っていた。



見られた!

聞かれた!

「変態」って言われたー!




ショックだ…

だって「変態」だよ!

変態って…


僕…もうお嫁に行けない!

手すりの下に隠れるようにうずくまる僕に聞こえるのは、朱里ちゃんの楽しそうな笑い声。

機嫌、直ったんだ。

よかった……

何が原因かわからないけど、朱里ちゃんは笑っている方がいい。

今日の青空みたいに。


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