わたしの魔法使い
朱里ちゃんは笑っていた方がいい。

確かに僕はそう思ったよ。

そう思ったけど……


ちょっと笑いすぎじゃない?

さっきからずーっと笑ってる。

ちょっとおさまったかな?って思って顔をあげると、まだ笑い出す。しばらくその繰り返し。

僕はもぐらたたきじゃないって言うの!




「ねえ、朱里ちゃん。そろそろ帰ってきたら?」

「あははー、それもそうねー」

だって!

一人でずーっと笑って、僕をもぐらたたきにして!

悔しい!

悔しいけど…楽しい……


朱里ちゃんは本当によく笑う。

子供みたいに。楽しそうに、大きな声をたてて。

素直に、まっすぐ生きてきたんだろうなって思わせる、そんな笑い方。


僕にはできない。

同じように笑っても、きっと……




いかん、いかん。

ついつい暗くなっていくところだった。

こういう時はね、頭をブンブンしよう!

シェイク、シェイク、シェイクってね。

そしたら良い事も悪い事も、楽しい事も、悲しい事もぜーんぶ混ざってー

ほらっ!大丈夫!


「………」

「って、全然大丈夫じゃねー!」


勢いよく振り返ったら、玄関を開けたばかりの朱里ちゃんとバッチリ目があった。

その変な生き物を見る目はやめてっ!

しかも無言は辛いよ!



このタイミングで玄関が開くとは思わなかったんだよー。

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