ハナミズキ
「……これが最後のキスや、恋華。」
私は、黙って頷く。
これで本当にサヨナラだ。
もう後戻り出来ない。
「んじゃ!病院戻ろか」
「…はい」
泣いちゃダメだ。
遊李さんの方がつらいんだから。
私はまた、帰り道遊李さんにおんぶしてもらい、病院に戻った。
病院に戻った後は、物凄く先生やお母さんに怒られちゃったけど……理由は誤魔化しといた。
みんな、深くは追及して来なかった。
それが嬉しかった。
―遊李さんは、私を病室まで送ってくれた。
しかも、私が寝付くまで側にいてくれた。
私が寝付くと、遊李さんは握っていた手を離し―
「…ありがとうな。俺を守ってくれて。」
その一言を残し、病室を去っていった。