マスカケ線に願いを
「ちゃんと、自分と向き合いますから」
「俺から見たら、杏奈ちゃんはきちんと自分の足で立ててるんだけどな」
私はコウの言葉に苦笑した。
「まだまだ駄目なんです」
「杏奈ちゃんが言うなら、そうなんだろうな」
うなずいているコウに、私は悪戯心を起こして爆弾を投下した。
「荒療治とはいえ私に抱きついたこと、小夜さんには黙っておいてあげます」
私の言葉にコウが顔色を変えた。
「お……それは、黙っておこうな。俺が小夜にしばかれるから」
「わかってます。私も小夜さんに怒られますから」
私は再びコウに頭を下げて、その場を後にした。