マスカケ線に願いを
「だけど、今日杏奈に会って、元気出してくれたと思う。楽しみが増えれば、元気にもなってくれるだろう」
「そうだと良いな」
私は笑って続ける。
「それじゃあ、子作り頑張らなきゃね」
私の言葉にユズが盛大に咳き込んだ。運転を誤らなかったのは、奇跡だったと思う。
「おま、お前な! 運転中にそんなことを言うな! 危ないだろ」
むせながら文句を言うユズの顔が真っ赤になっていて、本当に可愛い。
「ごめんなさい」
「全くだ」
むっと口を尖らせるユズはやっぱり子供っぽい。それなのに私を包み込んでくれるような包容力がある。
この人を、一生放したくない。