マスカケ線に願いを
夢の中で、私は一人ぼっちだった。
みんな、私なんか見えないみたいに、自分達だけで楽しんでいる。
それでも私は胸を張る。
他人がどう思ったって、関係ないと虚勢を張る。
だけど、どんどん悲しくなってくる。
自分ではどうしようもできない悲しみが私を襲う。
そのとき、誰かが私に手を伸ばしてきた。
私はその手の持ち主を見ようとして――目が覚めた。
目を開けると、ユズはまだ眠っていた。
無防備に眠るユズの顔が、予想以上に近くにあってどきっとする。
私はぼんやりとその顔を眺めていた。
とても不思議な気分だった。
ほとんど初対面の男の人と一夜を共にしたなんて。
でも、ユズと一緒にいるととても落ち着けた。
安心感といってもいい。
私は自意識が強いことくらい自覚している。
それを包み込めるような包容力を持ってる人にはお目にかかれたことがなかったから。
ユズといると、気が抜ける気がする。
「ん……」
ユズが身じろぎをして、背伸びをした。
眩しそうに細められた瞳と、目が合った。
ユズは私を見て、微笑んだ。
「おはよ」
「……おはようございます」
そんなやりとりがどことなく恥ずかしくて、うつむいた私の頬は、赤く染まっていると思う。
そんな私にユズはふっと笑いかけて、私の頭をなでた。