マスカケ線に願いを
「あれ、大河原君?」
「はい?」
「顔色悪いけど、大丈夫?」
心配そうに私を見る佐々木主任。
きっと、さっきの紙切れのことが尾を引いている。
「だ、大丈夫です」
「それならいいけど、無理しないでね」
「ありがとうございます」
席に着くと、こそこそと話す声が耳に入ってくる。
「美人は得よね。すぐに心配してもらえるんだもん」
「ほんとー。男の人って美人に弱いもんね」
ねえ、私、貴女達に何かしたの?
何でそんなことを言うわけ?
無駄口叩く暇があったら、仕事しなさいよ。
私はさっさと資料をまとめて、仕事に取り掛かった。
疲れきってマンションに着いた。いつものように郵便受けを確認して、硬直した。
「また……」
郵便物と一緒に、紙切れが挟まっていた。
恐る恐るそれを開く。
『愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる……』
「っ」
紙一面に、愛してるの文字。