マスカケ線に願いを

「明日の事情聴取、俺も一緒についていくからな」
「えっ」

 私は驚いてユズを見た。

「そこまでご迷惑かけられません」
「迷惑じゃない」

 ユズはにこっと微笑む。

「杏奈のためだったら、迷惑なんかじゃない。それに、仕事も休みなんだ」

 それでもためらってしまう私に、ユズは怒ったような顔を作った。

「杏奈がしっかりしてるは知ってるけど、少しくらい俺のこと頼っても良いんだぞ」

 頼ってもいい、って言うけれど……。

「コウが言っていたんですけど、ユズが私に一目惚れしたって本当ですか?」
「っ」

 私の言葉に、ユズははっと息を呑んで、頭を抱えた。

「ど、どうしたんです?」
「あの男……」

 怨念がこもってそうな声で唸って、ユズは顔を上げた。
 心なしか、顔が赤い。

「あー……」
「?」
「守ってやりたいなって思うんだ。杏奈見てると」

 照れたようなユズの仕草に、私も釣られて顔が赤くなる。

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