マスカケ線に願いを
……格好いい。
端正な顔立ちで、本当に格好いい。
私には、勿体のないような人。
素直に、この人に甘えられたら、どれだけ幸せなんだろう。
守られるだけの女の子になって、甘えて、好きって素直に言えて――そんな、可愛らしい女の子になれたら、どれだけ幸せなんだろう。
そんなことをぼんやり考えていると、ふと、何かが動いて、はっとする。
「?」
ユズはぐっすり眠っていて、私を放す気配はないけど……なにか足に……、
と、そこまで考えて、私は赤面した。
ユズは男の人であって、眠っているわけで、そういうことが起きるのは生理現象であって、仕方のないことなんだろうけど!
当たってる……っ
私は軽くパニックを起こす。
そ、そりゃあ、私は生娘じゃないし、経験がないわけじゃないけれど、かと言ってこの状況が恥ずかしくないわけがない。
逆に私とユズは健全な関係だから、余計に恥ずかしい。
私が一人であたふたしていると、ユズがもぞもぞと起きだした。
「む……」
目を細めて、しばたたかせて、ばちっと私と目が合う。
「ん、杏奈……おはよ」
「お、おはよう……」
にこっと笑ったユズが、ぎゅうっと私にしがみつく……って、当たってるから……っ!
「ゆ、ゆ、ユズ、あの、ちょっと離れて……っ」
真っ赤になった私は、ユズを押す。ユズは不満そうに眉をしかめた。