マスカケ線に願いを
「可愛い」
そんなユズの笑顔に、私は顔を染める。
「お昼は、外で食べようか」
「え」
「杏奈の手料理も良いけど、作るのも疲れるだろ。警察行く前に食べよう」
私はうなずいた。
ユズが私を連れてきたのは、小さなレストランだった。隠れ家的雰囲気の、可愛らしい店だ。
「ここ、俺のオススメなんだ。特別なやつしか連れてこない」
「へえ。可愛らしいお店」
「幸樹にも教えたから、知ってる」
私は思い出し笑いをする。
「二人は本当に仲がいいのね。コウ、寂しがってたよ、ユズがいない間」
私の言葉に、ユズは思い切り顔をしかめた。
「んだよ、それ、気持ち悪いな」
「でも、本当だよ」
二人は空いているテーブルに着いた。内装も、ファンタジーの世界のような、独特の不思議な装飾だ。
「本当に素敵」
「気に入ってくれて、嬉しい」
ユズがおすすめだというメニューを頼んで、待っている間に再び会話が弾む。
「ユズがこんな可愛いお店知ってるなんて、ちょっと意外」
「大学時代の友人の店なんだよ、ここ」
「え、本当?」