「恋をする」ということ。
「ねぇ爽花、あの人こっち来る・・・」

「そこの席なんじゃないの?」



と言いつつ、指差したのは私の隣の席。爽花はなぜか、笑いをこらえていた。

改めて、机の名前をみて勘弁して、と思った。



とりあえず 予鈴が鳴ったので 席に着く。もちろん 2位の人の隣の席。

入学早々、最悪な学園生活が始まったように思えた。HRの途中、隣の人は

とんでもないことを言い出した。

「あんたさぁ・・・花園由梨・・・っての?アンタカオ整ってんだからさ、

 その昭和っぽいダサいメガネとさ、前髪長くすんのやめたら?幽霊だよ、見た目。」



と思わず顔面に蹴りを入れたくなるようなひとこと。

私としては、このメガネは宝物。おばあちゃんが、ある日私につぶやいた時にもらったもの。

あなたはかおがきれいで・・・っていったところは何のことかよく理解できなかったが、

とにかくちやほやされるのといじめられるのが嫌いな私に、年代物のメガネをくれた。

それを・・・この男は。

「あんたに・・・何がわかるの?人の事情も知らないクセに。余計なこと言ってんじゃないわ
よ!!!」



そう 声を上げた後、彼の頬を思いっきり平手で叩いていた。



でも。そんなことどうでもよかった。こいつなんかそうなって当然だ。そう思った。



私のメガネをけなしたと同時に、おばあちゃんのことをけなされた様な気がして

私は思わず 教室を飛び出していた。

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