君に会いたくて
ピンポーン……
玄関のチャイムを鳴らすとしばらくして
ゆっくりと扉が開いた。
「…ちょっ、えっ?どゆこと?
てか何で泣いてんの?」
いつもは冷血でポーカーフェイスな奈南のお兄ちゃんが
熱のせいでちょっとだけ赤い顔をしている。
「奈南に頼まれて…これ。」
さっきコンビニで買ったものを差し出すと
奈南のお兄ちゃんはじっとあたしの顔を見ていた。
「あ、ありがと。てか、どしたの?」
「なんでもないです。では。」
背を向けて帰ろうとすると
「ちょっ、」
弱々しいけどあったかい手によって
何故か家の中に導かれた。