君に会いたくて
「ちょっ、まじで何事?」
あたしは黙って首を振った。
これ以上話したらまた涙が溢れてしまう。
そう思ったのに
話してないのに
呆気なく涙は溢れた。
「はぁ…」
奈南のお兄ちゃんは
大きな溜め息を吐いた。
「っ帰ります…」
「ん。」
ちょこん、と顔に乗せられたのは
奈南と同じ匂いがする
パステルイエローのタオルだった。
リビングのソファーに座らせられて
「どうした?」
優しい声に包まれた。