君に会いたくて


壁のほうを向いて



あたしに背を向けて寝る奈南のお兄ちゃんに


問いかけた。



「いい。治るから。」




なんて答えが返って来た。



そんな…



「じゃあ奈南に頼みますね、病院」




「いい。奈南に迷惑かけたくないから」





迷惑って…



奈南が迷惑なんて思うはずない。



奈南にとっては大切な家族なんだから。




「じゃああたしを頼ってください!
頼りないかもしれないけど
あたしを頼ってください!」



あたしはおもむろに箱から冷却シートを出した。




「ちょっ、つめてーよ」


< 42 / 123 >

この作品をシェア

pagetop