トーカタウンの子供たち

夕暮れの公園。

「お兄ちゃん、何かあそこにいるよ」
妹が指差した茂みに何か動くものが見える。よく見ると白い猫のようだが何か変だ。
「お兄ちゃん！あの猫ちゃん、立ったよ、こっち見てるよ！」
猫は後ろ足で立ち、こちらを見た。

(ニタァ)

猫が笑ったように見えた。目が細くなり、口がつり上がって見えた。
「げっ」
動揺している間に猫はフェンスの隙間からどこかへと行ってしまった。
「お兄ちゃん！お兄ちゃん！あの猫ちゃん、こっちを見てニコッと笑ったね！」
そう、その猫らしきものは確かに笑っていた。でも僕にはニコッじゃなく、ニタァに見えた。

妹のクルミは好奇心旺盛で、猫のいた茂みの方に駆けて行ったが嫌な予感がしたのですぐに手を引いて家に帰った。