トーカタウンの子供たち
「カズマ、学校はどうだった?」
家に帰ると母さんがカレーを作っていた。家中にいい匂いが広がっている。

「ん?まぁまぁ」
「もぅ。何か変わったことはなかったの?クルミはうまくやれているみたい?」

6年生ともなるとあんまり代わり映えはしない。クルミは入学したばかりだから、すべてに興味津々のようだ。人見知りもしないので新しい友達もできたようだ。校門で他の女の子たちと別れるまで待たされた。

クルミの御守りをしている僕を横目にハジメっちとタロちゃんは(じゃ明日)と合図すると笑って帰って行った。週末の予定はもう決めてある。

「今日ね、変な猫ちゃん見たの!」
「変な猫ちゃん?どんな猫ちゃんだったの」
早速クルミは母さんとさっきの話をしている。
「あのね、猫ちゃんが立ったの!」

テーブルを挟んで窓側の方がクルミと母さんの席。キッチン側は僕と父さんの席だ。
RAD vehicle(通称:ラビィ)の運送業をしている父さんは今日も遅いみたいだ。
3人での食事には慣れている。
外では近所の犬が騒がしく吠えているが話に夢中なふたりは気にならないようだ。

「猫ちゃんも歩いたりするでしょ?」
「ううん、ピョコンてこうして!」
クルミは体を目一杯使って伝えようと頑張っている。
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