下剋上はサブリミナルに【BL】
この教室に入って来たのだから当然クラスメートである。

そして実は同じ中学出身で、2、3年の時にオレと彼女と洸は同じクラスだったのだ。

高校に入学して一旦はバラバラになったんだけど、今年、オレと彼女はまた同じクラスになった。

ちなみに2年3組である。


「斉藤も」

「私は空いてるバスに乗りたいから、いつもわざと早く来てるんだもん。今日はどうしたの?」

「えっと……。洸、定例会議だから」

「え?それで西島くんも一緒に登校したの?」

「うん」

「ふ~ん……」


何かを含んだような声音でそう呟いた後、斉藤はツカツカと自分の机に近づき、続けた。

「でも、そこまでムキになって一緒に登校しなくても良いんじゃないの?東条くんだって一人になりたい時があるだろうし」


……どんなに鈍感な奴でもきっと引っ掛かるに違いない。

今の言葉のニュアンス。

まるでオレが自ら望んで、むしろ強引に、洸のスケジュールに合わせて行動している、というように解釈できやしないだろうか?

いや、「しないだろうか?」じゃなくて、ズバリ、そういう意味で言っているんだろう。

すっごくすっごく納得いかないんだけど、一部の生徒の中には、金持ちで品行方正な洸にしつこくまとわりつく腰巾着のオレ、という図式を描いている奴がいるらしいのだ。
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