下剋上はサブリミナルに【BL】

中卒で働きに出るなんて、度胸も意気地もオレには無い。

せいぜいオレにできる事は母ちゃんに負担がかからないように授業料の安い県立高校に通い、少しでも生活の足しになるようにバイトをすることくらいだ。

だから今は、現状を甘んじて受け止めている。

高校さえ卒業してしまえばこっちのもの。

何故ならオレは、奨学金制度を利用して、寮生活をしつつ大学に通うつもりだから。

洸も進学組だけど、奴の志望校は別のとこだし。

何でも平均並のオレだけど、勉強だけはコツコツ頑張り、そこそこ良い位置をキープしている。

志望校は今のとこバッチリ合格圏内だ。

母ちゃんがアイツん家の家政婦という立場である事に変わりはないけれど、とりあえずアパートさえ出ればアイツと係わり合いになる頻度が大幅に減る訳だし、もし電話なんかで呼び出されても適当な事言って断れば良いんだから。

今よりも強気に出られるハズだ。

母一人子一人なのに母ちゃんと離れ離れで暮らすのはちょっと寂しいけどさ。

でも、大学を卒業してオレがきちんと就職したら、また母ちゃんと暮らすつもりだし。

オレがアパートを借りて、そこに母ちゃんを呼び寄せるんだ。