下剋上はサブリミナルに【BL】
「うん。全然逆方向。本屋に用事があったからさ」

「そっか。うちらはね、塾が始まるまで時間潰してんの~」


「東条くんは塾とか行ってないの?」

「うん。3年になってから考えようかと思って」

「さすが余裕だよねー!」


輪の中から外れたオレは、ぼんやりしながら4人の会話を聞いていた。


つーか、偶然っていうほど偶然じゃねーだろ。

オレらが住んでるこの町は、のんびりのどかでお世辞にも大都会とは言えない。

ただ、駅前やそこに繋がる大通りにはそこそこお洒落な店や施設などが集中しているので、地元のヤングは必然的に駅前まで足を延ばす機会が多くなる。

地元じゃなくても電車通学の学生は当然駅を利用するんだし。

そんなワケで放課後、同級生達とこの界隈で顔を合わせたとしたって、何ら不思議な事ではないのだ。


オレ1人、思いっきり蚊帳の外に放り投げられて、ちょっぴりやさぐれ気分でそんな事を心の中でブチブチ呟いていたら、突然斉藤が振り向いてオレに視線を合わせた。


「西島くんも一緒なんだね」


心なしか口調が冷たい。


「ホント、2人って仲良いよね」


「ああ……うん。いつも俺の用事に付き合ってもらっちゃって、申し訳ないとは思ってるんだけど」
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