下剋上はサブリミナルに【BL】

は！？

｢あ、ごめんな忍。荷物持ってくれて｣

ち、ちょっと待て！


斉藤とそんなやり取りをしつつ、爽やかな笑顔でオレの手から参考書をやんわり奪い取る洸に、オレはマインドで速攻ツッコミを入れた。


今の話の流れだと、またもやオレが洸の後を金魚のフンのようにくっついて来て、しかも頼まれてもいないのに強引に荷物持ちをかって出たみたいじゃねーか！


その場には、一瞬気まずい沈黙が流れた。

３人寄ればかしましい、しかも「イマドキの女子高生」というオプション付きの女の子を黙らせる空気って、凄すぎるぞ、オイ。


｢あ、そろそろ行かないとヤバくない！？｣


１人の女子が、手にしていたケータイにチラリと目をやると、慌てたように言葉を発した。


｢いつもの席取られちゃうよ｣

｢ヤバイヤバイ！早くいこ！｣


３人はソファーへと駆け戻り、慌ただしく自分の荷物や飲み物を手に取ると、オレ達の脇を早足で通り過ぎつつ言葉を発した。


｢じゃあね～。東条くん。と、西島くん｣


名前を知らない女子におまけのように呼ばれて胸中複雑ではあったものの、挨拶してくれたのに無視する訳にもいかず、微妙な笑顔で会釈する。