下剋上はサブリミナルに【BL】
出入口の所で、斉藤が一瞬チラっと意味ありげな顔で振り返りオレを見つめたが、すぐに自動ドアを抜けて出て行った。


「さて、何飲むかな」


洸は呑気に呟きながら、彼女達が去った後のソファーに近づき腰掛けた。


「俺が場所取っとくから、お前買ってこい。アイスコーヒーのSな」


場所取りが必要なほど店内は混んでいないのに、洸はこれまた外す事なく、偉そうな口調で恩着せがましくそう言うと、右手でオレをシッシッという感じで追い払った。


こ、このやろ~っ。

ただ単に注文して出来上がりを待って、それを席まで運ぶのが面倒なだけだろっ。


だけど、これまたオレもお約束で、やっぱり洸の命令通り、レジカウンターへと向かってしまうのだった。


いちいち反発するのが面倒というのもあるけど最終的に結局オレが言い負かされるに決まってるし。


……やっぱオレ、あと1年以上もこんな生活が続くなんて、耐えられないんじゃなかろうか。


せっかく朝、自分の気持ちを奮い立たせたばかりなのに。


何だかオレ、もうくじけそうだよ。
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