下剋上はサブリミナルに【BL】
な、何でこんな場所でそんなヘビーな話してんだよ!!

斉藤に見つからないように行動してんのに、これじゃ意味ねーじゃねーか!

それどころか、こんな所見つかったら、まるでオレが話を盗み聞きする為に後をつけて来たみたいで……。

オレは足元からゾッと寒気が襲って来るのを感じた。


す、速やかにこの場を立ち去ろう。

触らぬ神にたたりなし。


「西島くんが悪いのよ」


しかし、抜き足差し足で、一昔前のドロボウを彷彿とさせる体勢で数歩進んだオレは、その言葉に思わず歩みを止める。


「私、中学の時から2人の事見て来たけど、あの人いっつも東条くんにまとわりついてるじゃない。だから東条くんがそういう気になれないんじゃないのかしら」

「いや、忍は関係ないよ。あくまでも俺の気持ちで……」

「昨日だって、東条くんの荷物、これみよがしに持っちゃって。周りに親友っていうのをアピールしたいのかもしれないけど、ちょっと方向間違えてるんじゃないかしら。はっきり言って卑屈よね。ああいうの見るとイライラする」

一度口にしてしまったら止まらないのか、斉藤は興奮気味に辛辣な言葉を並べ立てた。
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