下剋上はサブリミナルに【BL】
「あれは、あの女にいかにダメージを与えられるか考えながら言葉をチョイスしていったら結果ああなっただけだ」

「は?」

「どういう角度からでも、俺のやり方にケチをつけるような、その考えを否定するような事を言われるのは我慢ならないからな」


洸は不適な笑みを浮かべつつ言葉を繋ぐ。


「それに、ああいう恋愛フィルターがかかった女には、ああいう言い方をしておけば、後で冷静になった時に『親友の事で本気で怒る男気溢れる熱い男』とあくまでも相手を美化した勘違いをするに決まってる」


……オレの感動を返せ。


そうだよな。


こいつが本気でオレをかばったりフォローしたりする訳がないじゃないか。

陥れるような事ならちょいちょいやらかしてくれるけどな。

良い加減学習しろよ、オレ。


「……おい」


その時ふいに、洸が右手を伸ばしてきた。


『え?』と思っている間に頬に添えられ、くの時に曲げた人差し指で、左の目尻を拭われる。


「泣いたのか?」

「え?あ……」


意外にもやさしいその手つきに虚を突かれ、一瞬返答が遅れる。
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