下剋上はサブリミナルに【BL】
店長や、勤続10年にもなるベテランパートさんは何とか時間までに終わらせていたみたいだけど、清水さんは学生バイトが入る前は遅番のたびに残業する羽目になっていたらしい。


清水さん自身がまだ新人さんで慣れてなかったというのもあるのだろうけど。


「それでなくても私みたいなおばさんは覚えるまでに時間がかかるんだからねぇ。でも、西島くん達みたいな真面目で働き者な子が入ってくれてホント助かったよ~。受験前までは続けてくれるんでしょ?これからもよろしくね」

「はい。ありがとうございます」


その言葉に、何だかオレはとても嬉しくなった。


こんなオレでも人様の役に立ってるんだ、頼りにされてるんだ、って自信がふつふつと湧いて来て。


日々誰かさんにトロイだの気がきかないだの散々虐げられてるから。


って、ヤメヤメ。

わざわざ自分を落ち込ませるような事を思い出してどうする。

この幸せな気分のまま、仕事バリバリ頑張るぞ。


ちょうどその時、肌掛け布団を抱えたお客様が来店した。


「いらっしゃいませー」


オレは洋服の陰から顔を出し、清水さんと共に精一杯の笑顔で元気よく、お声掛けをしたのだった。
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