下剋上はサブリミナルに【BL】
「ただいま」
「あ、おかえり」
バイトを終えてアパートにたどり着くと、母ちゃんがダイニングでテレビを見つつ笑い声を上げていた。
母ちゃんの勤務時間は何事もなければ7:30~16:30なので、この時間帯は夕飯も食べて風呂にも入って後はゆっくりするだけの、至福の寛ぎタイムなのである。
「お疲れさん。いま夕飯温めるから、着替えて手洗ってきな」
「うんサンキュー」
言いながらオレは自分の部屋に向かう。
と言ってもダイニングキッチンとは引き戸で区切られてるだけなのでほんの数歩で到着するんだけど。
北向きの静かな、4畳半のオレの城。
ちなみに母ちゃんの寝室は隣の6畳間だ。
この部屋に入り切らないオレの荷物とか、日用品なんかをそこに置いているので窮屈さで言ったら大して変わらない。
だけど、いくらコンパクトな造りでも、いざ部屋を借りるとなると、やはりそこそこの家賃は取られる。
しかもこの付近は交通の便が良く、田舎の割にはその不便さを感じさせないし、そんな立地条件が良い場所にタダで住まわせてもらってるんだから、ホント有り難い話だ。