下剋上はサブリミナルに【BL】
いや、事故っていうほどのものじゃないんだけど。


いつもはなるべくボールに触らないように適当に逃げ回っているオレだけど、偶然にも、ゴール前のベストポジションにいた為にボールがパスされてきてしまった。


それを奪おうと突進して来た、まさに体育会系の4組の山本という奴と足が絡み合い、派手に転ばされてしまったのだ。


「あっ。わりぃ!大丈夫か!?西島」


相手は速攻謝って来てくれた。


「何か、すげーエキサイトしちまって。ごめんな?」

「いやいや。大丈夫」


そいつに手を取られ、立ち上がりつつ答える。


いい加減な気持ちで試合に臨んでいたからこんな事態になった訳で、本来ならオレこそが怒られる立場なのに、真剣にプレーしていた相手にこんなにも謝られてしまうとむしろ申し訳ない。


「うわ。すげー血が出てんぞ」


試合は中断し、皆がオレ達の周りを取り囲む。


「俺、ひざ小僧擦りむいた奴久々に見た」

「保健室行って来いよ」


周りからやいのやいのと言葉が飛んでくる。


「お~い。大丈夫か?」


その人垣の向こうから、先生がひょっこりと顔を覗かせた。
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